暴走する食欲を医学で鎮める。内服・注射治療の最前線(GLP-1/GIP)
前回のコラムでは、リバウンドを防ぐための「4輪駆動(4WD)アプローチ」の全体像をご紹介しました。今回は、その中でも目標に向かって力強く進むための前輪、「脳(食欲)へのアプローチ」を担う最新の痩身治療薬について深掘りしていきます。
「ついつい食べ過ぎてしまう」「甘いものがやめられない」。それは決してあなたの意志が弱いからではなく、脳のシステムがエラーを起こしている状態です。

当院では、この強力なシステムエラーを正常化し、無理なくダイエットを成功に導くために、患者様の体質に合わせた様々なお薬を組み合わせて処方しています。
1. 内服治療のファーストチョイス「リベルサス」(飲むGLP-1)

当院で最も多く処方され、治療のベースとなるのが「リベルサス(一般名:セマグルチド)」というお薬です。
これまでGLP-1という痩身薬は「注射」しかありませんでしたが、リベルサスは特殊な技術により、胃から直接吸収されるようになった「世界初の飲むGLP-1」です。
注射に抵抗がある方でも、毎朝1錠飲むだけで手軽に治療をスタートできます。
【リベルサスの役割:24時間体制の食欲ガードマン】
リベルサスは、あなたの身体の中に「24時間体制で働く食欲のガードマン」を配置するようなお薬です。 太りやすい方は、食事をした時に脳へ「もうお腹いっぱいです」と伝えるメッセージが遅かったり、弱かったりします。

リベルサスを飲むと、ガードマンが脳の入り口でしっかり見張りをして、「今はこれ以上食べる必要はありませんよ」と自然にブレーキをかけてくれます。我慢して食べるのを止めるのではなく、自然と「もういらないかな」という気持ちにさせてくれるのが最大の特徴です。
2. より高い目標へ届くステップアップ薬「マンジャロ」(GLP-1/GIP)
リベルサスで効果が停滞してしまった方や、-15%以上というより大きな減量目標を持つ方に提案するのが、最新の注射薬「マンジャロ(一般名:チルゼパチド)」です。
マンジャロは、GLP-1に加えて「GIP」というもう一つの痩せホルモンにも同時に働きかける、世界初の「二重作動薬」であり、既存の薬を凌駕する圧倒的な減量効果が実証されています。週に1回、ご自身で細い針の注射を打つだけで効果が持続します。
【マンジャロの役割:ガードマンの強化 + エネルギー管理コンサルタント】
マンジャロは、ガードマンを強化するだけでなく、新たに「有能なエネルギー管理コンサルタント」を雇い入れるようなものです。

入り口で食べ過ぎをブロックするだけでなく、身体の中に溜まった脂肪をいかに効率よく燃やすか、組織全体を最適化してくれます。つまり、入ってくるカロリーを減らすだけでなく、すでにある在庫(体脂肪)の処分スピードも劇的に上げてくれるのです。
3. 減量を加速させる「頼もしいサポート役」たち
主役となるGLP-1/GIP薬に加えて、当院では患者様の体質(太り方のタイプ)に合わせて、様々なサポート薬を組み合わせることで、より確実な減量を目指します。
カナグル(カロリーの非常階段)
カナグルは腎臓に働きかけ、尿と一緒に1日おにぎり1〜2個分(約200〜400kcal)の糖分を強制的に体外へ排出します。お手洗いに行くたびに、ジョギング1時間分のカロリーを勝手に捨ててくれる強力な味方です。
メトホルミン(工場のコンサルタント)
糖を作る肝臓に「今は在庫(脂肪)を使いなさい」と指示を出し、インスリン抵抗性(鍵穴のサビ)を改善します。リバウンドしにくい「太りにくい体質の土台」を作る基盤薬です。
防風通聖散(高火力なゴミ焼却炉)
お腹周りに脂肪がパンパンに張っている方(実証)向けの漢方です。体の中から火力を強めて脂肪を燃やし、詰まったゴミを便と一緒に押し出します。
防己黄耆湯(排水ポンプ)
色白で筋肉が少なく、むくみやすい水太りの方(虚証)向けの漢方です。滞った身体の排水ポンプを直し、重たい水袋(余分な水分)を下ろして身体を軽やかに引き締めます。

4. 副作用への不安に寄り添う「万全のケア体制」
医療ダイエットにおいて、「副作用で気持ち悪くならないか」「便秘にならないか」といった不安を持つ方は少なくありません。GLP-1等の薬は胃の動きをゆっくりにするため、特に飲み始めに胃のむかつきや便秘を感じることがあります。
当院では、こうした不快な症状を我慢していただくことはありません。症状に合わせて、以下のようなお薬をすぐに処方できるよう準備しています。
メトクロプラミド(胃の交通整理員)
吐き気を感じた時のレスキュー薬です。胃の中で起きている交通渋滞をサッと解消し、食べ物の流れをスムーズにして不快感を抑えます。
酸化マグネシウム(魔法のスポンジ)
硬くなった便に水分を引き寄せるお薬です。腸を無理に刺激しないため、痛くなりにくく自然に近いお通じを促します。
最後に:医学の力で「我慢」を「自然な習慣」へ
「食べたいのに食べられない」というストレスは、いつか必ず爆発し、リバウンドの引き金となります。
TODOKU CLINICのメディカルダイエットは、ご自身の精神力をすり減らす修行ではありません。ガードマンやコンサルタント、非常階段といった「医学の力」を総動員することで、暴走する脳を優しくなだめ、身体のシステムを「痩せモード」へと書き換えます。
まずはあなたの体質やライフスタイルを医師にご相談ください。一人ひとりの現在地に合わせた最適なお薬の組み合わせをご提案し、目標とする「未来の身体」まで、私たちがしっかりとナビゲートいたします。

【医療広告ガイドラインに基づく限定解除要件(GLP-1/GIP受容体作動薬について)】
未承認医薬品等であることの明示:
当院で肥満治療目的として処方する「リベルサス(セマグルチド)」「マンジャロ(チルゼパチド)」は、国内において2型糖尿病の治療薬としては厚生労働省に承認されていますが、肥満治療目的(ダイエット目的)での処方は、薬機法上の承認を得ていない「適応外使用(自由診療)」となります。
入手経路等の明示:
当院の医師の判断のもと、国内の医薬品卸売業者より正規のルートで仕入れています。
国内の承認医薬品等の有無の明示:
国内で肥満症治療薬として承認されている同成分の医薬品として「ウゴービ」がありますが、当院における自由診療での処方とは適応条件(BMIの基準や基礎疾患の有無など)や使用目的が異なります。
諸外国における安全性等に係る情報の明示:
GLP-1/GIP受容体作動薬の成分(セマグルチド等)は、FDA(米国食品医薬品局)等において肥満治療薬として承認されているものがありますが、使用にあたっては低血糖、胃腸障害(吐き気、便秘、下痢)、まれに急性膵炎などの副作用リスクが報告されています。当院では医師が患者様の状態を診察した上で、リスクを適切に管理しながら処方を行います。

